「多摩川について」

多摩川はその源を山梨県笠取山に発しています。源流付近では一ノ瀬川とよばれ、やがて丹波川と名を変え小菅川と合流して奥多摩湖(小河内ダム)に注ぎます。
さらに日原川、平井川、秋川、浅川、大栗川、乞田川を合流して、東京と神奈川の県境を流れ下流で三沢川、野川、平瀬川を受け入れ大田区の羽田で東湾に注いでいます。
全長は138キロに及び、流域は東京、神奈川、山梨の1都2県にまたがり、面積は1240平方キロ。山地と平地の比率は7:3です。

多摩川の語源

「万葉集」には「多麻川にさらす調布(てつくり)さらさらに・・・」という歌があるそうです。
「倭名類聚抄」には武蔵国府多磨郡という表記があり「多磨」を「タマ」ではなく「タバ」と読ませています。
多磨郡に大丹波、小丹波という村があったという説、水源が甲州都留郡丹波山村にあったため「丹波川」と呼んだという説などがあります。多麻、多摩、多磨、丹波、太婆、丹婆、玉、多波、田波とも書いたらしい。
「日本書記」には多氷屯倉という字で表されているそうだが、この字が何故、多摩の意味なのよくかわかりません。

多摩川の鮭

多摩川を代表する魚は鮎で、多摩川には昔も今も鮭は生息していません。古老の話では、迷った鮭が遡上してくることがたまにあるそうです。
近年子供たちをも巻き込んだ多摩川にサケを呼び戻そうという運動があります。活動が派手なだけに、子供だけでなく大人たちまでが昔は多摩川にも鮭がいて、鮭は多摩川の汚染によって遡上しなくなったと信じている人がたくさんいるようです。
もともと、多摩川の生態系には馴染まない鮭の稚魚を多摩川に放流し、生命と自然の大切さを学ぼうという考え方には矛盾を感じます。