第2回(1984年)授賞式。前列中央野口達弥会長、2列目右端石井作平さん
第1回(1983)

ラブリバーこどもたまがわ文学賞の設立と経緯
「ラブリバーこどもたまがわ文学賞」を最初に提案してくださったのは児童文学者の石井作平さんだった。
石井作平さんはNHK総合技術研究所勤務のかたわら児童文学者として「きぬた村のむかし話」「多摩川のむかし話」など、著作活動も続けられ1973年に現代少年文学賞を受賞。日本児童ペンクラブ会長、たまがわこども文化の会代表をされていた。

石井作平さんは「ラブリバー多摩川を愛する会」創設当時からの幹事としてラブリバー運動の発展に多大の貢献をされた。1987年10月に病没。
ラブリバーこどもたまがわ文学賞は、ラブリバー運動10周年の記念事業として「ラブリバー多摩川を愛する会」「たまがわこども文化の会」「日本児童ペンクラブ」の三団体が主催して設立。1983年から1987年の5年間実施された。

設立趣意書にはこう書かれている。
「 私たちの多摩川とその流域には、まだまだ水と緑の環境が残され、古くからの文化の息づいている地域も少なくありません。父祖から受けついだかけがえのない自然や伝統を、守り育て、次代を担うこどもたちに渡すことは、私たちのつとめであり、心からのねがいです。その願いを具体化したひとつの形がここにあります。
多摩川を愛する心を育てるための諸活動を推進する「ラブリバー多摩川を愛する会」、心のふるさとづくりをめざして「こどもたまがわ」の発行を続ける「たまがわこども文化の会」、児童文化の向上に尽くす作家の集団「日本児童ペンクラブ」は、このねがいのもとに、それぞれの道をひとつにして、「ラブリバーこどもたまがわ文学賞」を昭和58年に創設しました。
本賞の展開が、こどもたちの胸に、ますます多摩川を愛し、自然を愛し、ふるさとを愛する心を培うことを望むものです。」

そして、文学賞の目的として
・多摩川を愛する心と、その美しい自然を大切にする心を育てる。
・多摩川のほとりに培われた歴史や文化への関心を高める。
・ものを見る目を養い、文章に表現する力を育む。
・ふるさとを愛する気持ちを高める。
が掲げられた。

賞の趣旨、概要、目的が決まり、選考委員やスタッフ、運営の方法などの詳細が決まり、実際の運営費用は玉川高島屋SCが協賛してくれることになって実現の運びとなった。
当時ラブリバー多摩川を愛する会と友好関係にあったアメリカ最大の環境団体「キープ・アメリカ・ビューティフル」(Keep America Beautiful)のロジャー・パワーズ会長も趣旨に賛同してくれて国際賞という賞を設けてくれた。

作品の募集にあたっては、多摩川ぞいの市・区・町・村の小学生に、学校や教育委員会などに協力をお願いして、こどもたちにはつぎの言葉で呼びかけた。
「こどもたまがわ文学賞は、自然を大切にする心が育つこと、私たちのふるさとの歴史をみつめ、文化を知ること・・・・などをねがって行われる作文コンクールです。はげみのために、賞のきまりがありますが、なによりも大切なのは、自分のふるさとへの「愛」の心です。だから、ひとりひとりが感じたことや考えることを、詩にあらわし、作文につづる・・・心をこめて文章をかくということが、それだけですばらしいことなのです。
ひとりでも多くのこどもたちに、参加してもらいたいとねがっています。」

入賞作品は「たまがわこども文化の会」が発行する月刊誌「こどもたまがわ」と日本児童ペンクラブ発行の「児童ペン」誌上で発表、全文が紹介された。

初年度の応募作品は1,383編、1984年1,548編、1985年1,157編、1986年2,138編、1987年1,488編であった。

本ホームページに掲載した作品は大賞、主催3団体賞、協賛団体賞を「こどもたまがわ」と「児童ペン」誌上で発表されたものを採録した。